- 2011/07/20(水)
- 競走馬の育成の仕事って?
競走馬に関わる仕事。農家のおしごとナビでも多数登場する仕事です。
馬が好き、競馬が好き、きっかけは違えども競走馬の世界で働きたい!という方はたくさんいらっしゃいます。
では、競走馬の仕事とはどのようなものなのでしょうか?また、仕事をしている方々はどのような目標を持ってやっていらっしゃるのでしょうか?
今回は茨城県にある株式会社リバティホースナヴィゲイトの代表の佐久間さんにお話しを伺いました。
Q.競走馬の育成の仕事は未経験の方でもできるのでしょうか?
A.できます。
馬の仕事はやる気と体力があれば未経験の方でももちろんやっていただくことができる仕事です。
ただ黙々と仕事をこなしていくのではなく、自分はこうなりたい、という目標を持ってやっていかれた方がいいと思います。
例えば、”馬主さんから認められる騎乗員になる”という目標や”馬体の管理や馬のケアを責任もってやれる厩舎長になりたい”といった目標です。
競走馬の育成に関わる仕事には様々なプロフェッショナルが必要です。知識や経験を身につけ、それぞれの部門におけるスペシャリストになるという目標を持って仕事に励んでいただきたいと思います。
Q.なるほど。馬に騎乗する業務以外にも業務があるのですね。では、未経験の方が入社した後、どのような業務をおこなっていくのかを具体的に教えてください。また、将来どのような目標に向かってやっていくのかも教えてください。
A.未経験の方はまずは厩舎作業から始めていただきます。
業務スタート
↓ 【厩舎作業】 寝ワラ上げ、厩舎の清掃、餌やりなど
1ヶ月くらい
↓ 【馬の手入れ、リーディング、馬を洗う作業】
2ヶ月くらい ゴムブラシのよるブラッシングや馬体のマッサージ、トリミング、引き馬
↓
6ヶ月くらい
※この間、リバティホースナヴィゲイトでは、月に1回講師の方をお呼びし、馬学(馬に関することの勉強)やナチュラルホースマンシップ(馬に接する技法の勉強)に関する勉強会をおこなっています。
上記のような仕事の流れとなります。
馬は清潔でないとダメな動物ですので、毎日寝ワラを交換します。1馬房15分を目安にテキパキと作業をこなします。「キレイに手早く」この2つができるようになることが当面の目標です。実際はこの作業がかなり体力を使いますので、キツイです。初めての方は特に慣れるまでは大変な作業となります。
次に、馬の手入れや馬を引く仕事をしてもらいます。馬主さんから預かっている大切な馬を丁寧に手入れする仕事です。ゴムブラシを使ってブラッシングをすることで無駄な毛が抜けていきます。たてがみやしっぽなど、道具を使いこなし、丁寧に手早く手入れをしていきます。地味な仕事のようですが、作業をする人によって馬の毛ヅヤが大きく変わってきます。積み重ねが大事な仕事で、その人のこの仕事に対する想いや技量が形となって現れてくるのです。私たちはここでその人に対する評価をしています。
半年くらい経った後、上記の仕事ができるようになったら、その人のやりたいこと、目標を考慮し、仕事をあたえていきます。
目指す仕事は
1.騎乗員(馬の調教をする業務です)
こちらは、業務の合間や業務後に近くにある乗馬クラブにて乗馬のレッスンを受け、まずは騎乗ができるようにします。1年後くらいを目途に騎乗員になってもらいます。騎乗員人ると騎乗手当がつきます。
もちろん、騎乗員となるのが目標ではなく、大切な馬を預けている馬主さんが納得するような調教ができるようになることが目標です。2~3年後を目標に馬主さんから認めてもらえる騎乗員となってください。騎乗員はいわば職人です。将来的には独立も目指せる仕事といえます。
2.厩務員、フィードマン
騎乗はしませんが、厩務員やフィードマンという職種を極めるのも目標の一つです。
馬の餌を管理したり、馬の手入れをする仕事です。未経験者が初めにやる業務と同じと思われるかもしれませんが、馬の体調や調教の内容によって餌を変えていったり、サプリメントをあげたりする業務になりますので、経験や他の人たちとの調整がが求められる仕事です。いわば厩舎の作業のプロフェッショナルです。馬に乗る業務は難しいという方でも長くやることでこの道を極めることができ、目標をもってやれる仕事なのです。
その他、馬体の管理や病気に対するケアなどを予測し、責任もって判断していく厩舎長などを目指すという道もあります。
なるほど。ありがとうございます。これから馬の業界で活躍していきたいという方にとってはとても参考になるお話しを伺うことができました。
未経験で初めて馬の世界に入る方は、体力のキツサと仕事の厳しさで挫折してしまう方も多いと聞きます。
でも、先々にこういった目標があればそれに向かって着実にステップアップしていくことができそうですね。
馬のお仕事に興味がある方はぜひ参考になさってみてください。
※ナチュラルホースマンシップの講師、ディー・バー・ジェーランチのHP